今年の初め、韓国におけるコンセント制度の導入に関する報道がなされ、関連法案が10月初旬に韓国国会を通過し、改正商標法は、2023年10月31日付けにて公布され、2024年5月1日付けにて施行予定である。本改正法には他にもいくつか注目すべき点が含まれており、以下に説明する。
1.コンセント制度
出願商標が先登録商標の引用に基づいて拒絶理由が通知されたときは、当該先登録商標の商標権者から同意書を受け、韓国特許庁(KIPO)に提出することで、当該出願商標の登録が認められる。 また、同改正法の附則において、改正法施行前に商標出願されたものであっても、同法施行後に審査官による商標登録可否決定のときから、当該規定が適用される。つまり、2024年5月1日以降は、出願日に関係なく、拒絶理由を克服するために同意書の提出が可能となる。ただし、同一商標で且つ、同一の指定商品/役務の場合、同意書は受理されない。なお、同意書に基づく登録商標の不正競争を目的とした使用により、需要者に商品の品質誤認や他人の商品との混同を引き起こす場合、当該商標登録の取消を可能とする新たな取消事由が設定される。
2.国際商標登録出願の分割
商標出願における指定商品・役務の一部について拒絶理由通知を受けた出願人が、当該一部の指定商品・役務について分割出願を行い、残りの指定商品・役務について設定登録を行うことは、ごく一般的に行われている。 これまで分割出願は、国内商標出願においてのみ利用され、国際登録出願においては、名義人の変更に伴う分割移転に限られていた。しかし、こうした制限は、改正法により削除され、韓国を指定国とする国際登録出願も分割が可能となる。
3.その他
現在、商標権者の死亡日から3年以内に相続人が権利移転を登録しない場合、商標権は消滅する。改正法ではさらに、商標権の相続が開始されたときに相続人がいない場合、当該商標権は消滅する。
変更出願(例:指定商品追加登録出願*から商標登録出願、商標登録出願から団体標章登録商標への変更など)の基礎となる出願に優先権主張があった場合、変更出願時に優先権主張したものとみなす。(これにより、変更出願時に別途の優先権主張を行う手間がなくなる)(*指定商品追加登録出願:登録商標または出願商標において、指定商品・役務を追加して商標登録を受けることが可能)
韓国を指定国とする国際登録と国内登録商標の対象となる標章が同一で、国内登録商標との名義人が同一であり、韓国を指定国とする国際登録が、国内登録商標の登録の日より後に生じていて、国内登録商標の指定商品・役務と重なる全ての指定商品・役務に関する国際登録の出願日は、国内登録の出願日とみなされる。(これにより、国内登録商標の指定商品・役務が国際登録商標のそれに『すべて』含まれる必要はなくなる)