この8月*から「技術強奪」防止のための強力な対応策を盛り込んだ「不正競争防止および営業秘密保護に関する法律(以下「不正競争防止法」)」及び「特許法」が導入される。改正される不正競争防止法及び特許法では、懲罰的損害賠償が5倍、法人の組織的な営業秘密流出行為に対する罰金刑が3倍にまで引き上げられる。一方で、 アイデア盗用行為といった不正競争行為に対する是正命令制度の導入など技術強奪の防止に向けた様々な対応策も盛り込まれている。(* 2024. 2. 20. 公布、2024. 8. 21. 施行予定) 改正法は、①犯罪行為に対する抑制と処罰の強化、②不法行為に対する行政的救済手段の強化及び③保護の法的な空白領域の解消を主な内容としている。
- 犯罪行為に対する抑制及び処罰の強化(不正競争防止法、特許法)
- 故意による特許権侵害、営業秘密侵害、アイデア盗用に対する懲罰的損害賠償を3倍から5倍に引き上げる。これは悪意ある技術漏洩を防ぎ、被害救済の実効性を確保するための措置である(不正競争防止法、特許法)
- 法人により組織的に行われる営業秘密侵害行為を防ぐため、法人の罰金刑を行為者である個人の最大3倍にまで引き上げる(不正競争防止法)
- 営業秘密侵害品だけでなくその製造設備までもすべて没収できる規定を新たに導入し、侵害品の流通による二次被害を事前に防ぐ(不正競争防止法)
- 不法行為に対する行政的救済手段の強化(不正競争防止法)
- 不正競争行為に対する行政救済を強化する為、アイデア盗用といった不正競争行為について韓国特許庁が、行政調査後における是正命令及び過怠料の賦課が可能となるよう根拠規定が備えられる。現在、行政調査後、是正勧告および公表のみが行われ、行政調査のみでは、不正競争行為が続く状況を抑制しにくいといった問題を克服するためである
- 不正競争行為の被害者がより円滑に韓国特許庁の行政調査資料を損害賠償など民事訴訟の証拠として活用できるよう、裁判所が要請する場合、調査記録の一切を裁判所に提供できる手続きが設けられ、当事者が特許庁の行政調査記録を閲覧したり、コピーすることを可能とする根拠規定も新設される。これにより、これまでは行政調査で有利な結果を得られたとしても、民事訴訟において行政調査の結果を活用できず、証拠確保に問題のあった現状を大きく改善できるものとして期待されている
- 保護の法的な空白領域の解消(不正競争防止法)
- 不正取得・使用・漏洩など伝統的な営業秘密侵害行為領域を拡大し、ハッキング等による営業秘密の毀損や削除についても不正競争防止法により処罰が可能となる。これは、最近のハッキングによる被害が増加している状況を考慮し、営業秘密に対する保護を従前より強化したものである
- 今回の改正法律に盛り込まれた技術強奪の防止策における主な内容